静かなサピックス 2月2日午後5時

f:id:correct-me:20200203161005j:plainf:id:correct-me:20200112110326j:plain【とっちらかり受験生17】
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2月2日、午後5時。


「先生が、すぐ来て、って」

コートを着たまま玄関で叫ぶ母に

強引に連れてこられて、

サピックスについた。



こんな静かなサピックスは初めてだ。



受付の○さんが対応してくれた。

先生はお電話中らしいので、

しばらく待つことになるかな、と思うや否や

「はいっ、ちょーど!

今、他の子の電話終わったとこでした!

すごいタイミングー!」

大好きな先生が

見た目に反して機敏に飛び出してきた。 

つい吹き出してしまった。


どう挨拶すればいいのかわからなかったから、

この始まり方、ありがたかった。




私は、なぐさめられたいけど、

なぐさめられたくなかった。


私をなぐさめるのはとても難しいからだ。


量産型のなぐさめなら要らない

量産型の励ましだって要らない

むしろ、逆効果、ってそう思ってた。


教室に案内され、

母親が差し出した桜蔭令和2年2020年の

問題用紙を前に

先生は、

たくさんお話ししてくれた。

……

「そっかぁ、国語、簡単だったんだ、

桜蔭も豊島岡も?

ああ、そうかぁ。それは不利だなぁー」

って、

共感してくれた。


「あなたは、国語で他の科目をカバーしてるからね

でも算数がそれだけ取れたなら、

結構、力を発揮できたのかなって思うから

先生としては、嬉しいっていうか。


去年の今ごろだったら

こんなの絶対取り組んでもいないよね


ゴールデンウィーク特訓のときは

こんな問題やり抜くメンタルなかったよね


あのままだったら

絶対こんなに成長できてないよね」


話して、答えて、

悔し泣きしかしたことなかったのに。

嬉しくてありがたくて視界がぼやけた。



ただのなぐさめじゃなかった。

ただのはげましじゃなかった。

全然嫌じゃなかった。




先生は

私の思考回路のクセを掴みながら話してくれた。

言葉の細部にこだわる子が

もやっとしそうなところは

ひとつひとつ全部パッチしながら。


だから、

なぐさめも励ましも、

うんざりな綺麗事としてじゃなくて

圧倒的リアリティをもって伝わってきた。


「豊島岡は、

切り替えた子に幸せをくれる学校だと思います。


切り替える、前を向く。

今振り返るべきこと以外は考えずに。

最後の一秒まで本気で。



午後校も気に入ってるし、

2月5日校もあるしーとか、

今から何したって変わらないとか、

思わないことが今は、大事、

それは引きずってるってことだから……ね。


過去のこと、本気でなかった時の分を

取り戻すことはできないけど

2月3日、豊島岡第2回に、

本気で行けるように。

4日の第3回に

行くことになったらやっぱりそのときも

本気で行けるように。


本気、本気、ってしつこいおじさんだと

思ってると思うけど(笑)



はい!


最後ガッツポーズして終わります。」




お礼を言いながら部屋を出ると、

他の科目の大好きな先生たちが

森のヤマネかリスのように

ひょこひょこっと飛び出してきた。



かわいい……(笑)


朝、池袋で激励してくださった先生も。


「握手してやってください!」

と聞こえるが先か、

右手を母親に奪われたかと思うと

先生の手に触れた。



「受かったらね」

って言われてた、握手。


あったかく包み込むような、力強い、握手。


他の先生からも、握手。


こちらは、ひんやり、細い指。


嬉しかった。



先生たちを喜ばせたいな。

ふと思った、

最初から、もっとずっと頑張ってたら、

もっとずっと喜ばせてあげられたのかな……。


なにを今さら、だよね。わかってる。

今活かせる反省以外は、あとでするんだ。


暖かい気持ちで、古巣をあとにした。




帰り道、これだけは言おうと思ってた、

ママ、静かなサピックス

連れてきてくれてありがとう、って。


言おうとすると先に、ママは言った。

「ねえねえ!来てよかったでしょ!」

いつもの私ならすかさず

「何言ってんの?

そんなの確認しなくったって

顔見りゃわかるでしょ?!」

って返すところだ。


でも今は違う。

私は、強引で図々しい母に感謝していた。

「うん」

気付くと高速でうなずいていた。


「あのねあのね!

本人は話したくないみたいで、って言ったら、

できれば…お話ししたいですけどね、って先生が

おっしゃって。

あのそれって電話でですか?

よかったら、

会って話してやってくださいませんか、

すぐ行くので。

って言ったの、私。

有能じゃない?

そしたら、はい、

こういうことは会って話したほうがいいと、

僕は思ってます。って言ってくださったんだよ」


かつての私なら

「ママの差し金だったなんて!

余計なドヤ顔しなけりゃ感謝してたのに

全部台無しじゃん!」

とか言ってたと思う。


でも今は違う。



もっとずっと前から、

この人たちに対して素直であればよかった……

心の底からそう思ってる。


誰も私を傷付けようとしてない。

私を痛め付けているのは

私自身だと、思い知った。


苦しくて怖くて痛い。


この痛みを克服するには

自分の本気でやってくしかない。

たくさんのヒトが、

本気の出し方を教えてくれ続けていたのに

私は今まで何をしていたんだろう。



受験準備をおろそかにしたから、

あとは出題のガチャ頼み。

でも、

この先は、大学受験は、人生は、

ガチャなんかに頼りたくない。


私の人生はわたしが決める。

運なんかに左右されたくない。


パパは、運とか運命という言葉を嫌う。

やっとわかった。

天命を待つ資格があるのは、

人事を尽くした人だけだ。


運に頼るな、

全力でなきゃダメだ、

努力するしかないんだ、

人と比べてどうする……自分との戦いだ

逃げるのカッコ悪い

自分に言い訳するな………………

ありきたりだと思ってた言葉と言葉が繋がって、

初めて意味に納得した。


そして、

ずっと前から

予言されてたんだな、

規定路線だったんだな、この展開は。

って思った。


でも、

知識が穴だらけの私に今できることって

運に頼る以外にあるのだろうか……


考えが行ったり来たり。


まずい。

立ち直れたけど、後ろ向きだ。

そのくせ、

心のどこかで今夜のまぐれ合格を祈ってる。


2月2日午後5時

豊島岡の発表まであと一時間。

                                            • -

読んで下さり、ありがとうございました!

もしかして発達グレー研究所でした!

続きます。
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