学級崩壊を起こさせない、達人

今年の担任は、経験豊富。
必ずクラスがまとまるのだそうだ。

親からも子どもからも人気があって、
あちこちで「いいなぁ、T先生で」と言われるくらい。 どんなに素敵な先生なのだろうと思っていた。


いきなりわかった。わかりやすすぎた。

一人をターゲットにする。
サンドバッグにする。
その子のことだけを、執拗に責める。怒鳴る。
拘束する。犯人に仕立て上げる。
無実だと言えば、人格を否定する。


公開処刑って犯罪抑止力あるよね、と妙に納得してしまう冷静な自分と、
不条理の沼でもがき苦しむ自分。
今日も叱られながら、幽体離脱するかのように、「二人の自分」を眺めていた。

その他大勢の子は、吊り下げられた私の屍をみて、
とりあえず謝る技術を知るだろう。
そして、自らを律することを学んでいくだろう。
直接叱られないから、自己肯定感が下がることもなく
その他大勢の問題行動は、おさまっていくのだろう。


学級崩壊をさせないための、「クラスの人柱」に、
私は任命されたようだ。